SSブログ

母の家計簿の封印 [家族]

母は、毎日つけていた家計簿のメモ欄に、
日々の出来事や、想いなどを日記代わりにつけていました。
亡くなった直後、母がどんなことを考えていたのか、
例えば家族の誕生日や妹の結婚が決まった日とか、
旅行に行ったこととか、父のこととか、もちろんわたしのこととか、
知りたくて母の家計簿をめくったこともありました。
妹の結婚のことは本当に嬉しそうでしたが、
半面、妹をとられてしまったような気持ちになったようでした。
そんなことは全然知らなかったな・・・

家計簿は、両親がギリシャに行く前日までつけてあって、
当然ですが、それ以降は白紙のままです。
主のいない、書かれることのなくなった家計簿。
あの年の分も含め数十冊の家計簿は、戸棚にしまわれていました。
時々、気になりながらも、手をつけられなかった母の言葉です。
最近、父はほとんど母のことは話さなくなっていました。
父にとって母との思い出はわたしたち娘以上に大切にしておきたいものでしょう。
ところがこの数日、父は急に家計簿を読み出しました。
たくさんの家計簿を積み重ね、一冊ずつ読んで、
読み終えると一冊ずつ破りました。
破った家計簿は、そのまま焼却炉で燃やしました。
わたしたちには何も言えませんでした。
母がいなくなってからは、父の好きにさせようと、妹とも決めていますし。
もう、わたしたちの目に触れることはなくなりましたが、
父の胸に母の家計簿は永遠に封印されました。
何か心境の変化があったのかもしれませんが、
やっぱり父は何も語ってくれません。
老い先短い父にとって、母の言葉をこの世に残していくことを
不憫に思ったのかもしれません。
nice!(4)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 4

コメント 2

amaguri

お父さんの心は、ご本人しか解らない事なのでしょう。
僕も、amaguriさんも60歳になりました。記事を読まして頂き
色々考えさせられます。
(jyoji-san)
by amaguri (2012-09-18 00:40) 

ようこくん

chiwarinさんこんにちは

私の母も、父が亡くなった後
父の手紙など私たちの目に触れさせたくないものを
(たぶん自分のものも含めて)破いて捨てていました。
大昔のものも・・・です。

最近、私も年老いたら(子供たちのために)
同じことをするかもしれないと
思います。
by ようこくん (2012-09-28 12:35) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。